【福島勉強会】福島で“ばあちゃん特区”をつくる -地域で「生きる権利」もある― 福島の村では、その土地で生きることを選択した人、生きざるを得ない人たちの苦闘がいまも続き、月日を経るごとに新しい課題が生まれ、生きることの困難さは増しています。 私たちは2011年3月11日以後、福島県三春町の高齢農業女性と「農のくらし」を軸に交流を続け、同時にいま帰還地域に指定された田村市都路地域を折にふれ訪ね、地元の方たちのお話を聞いてきました。地域でいま何が起こっているか、その現実と背景を考え、話し合います。 なお、来年1月24日(土)25日(日)(予定)には、都路、三春をお訪ねし、地元の方との交流をする予定です。 【日時】2014年11月14日(金)18時~20時30分 【場所】連合会館501会議室(JR「御茶ノ水駅」徒歩数分 地下鉄「御茶ノ水」「新御茶ノ水」連合会館出口) 住所: 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3丁目2−11 電話:03-3253-1771 【プログラム】 ◆課題提起:谷山博史(日本国際ボランティアセンター代表) ◆報告: ◎「日本と福島を覆うTPP、“農業切り捨て”“高齢者切り捨て”の嵐」大野和興(農業記者、日本消費者連盟共同代表) ◎「いま福島の村で何が起こっているかⅠ―三春、都路からの報告―」西沢江美子(福島「農と食」再生ネット代表) ◎「いま福島の村で何が起こっているかⅡ―南相馬からの報告―」白川徹(日本国際ボランティアセンター) ◆討論 コーディネーター:高橋真理(アジア太平洋資料センター) 吉澤真満子(APLA) コメンテーター:布施祐仁(ジャーナリスト、著書に『ルポイチエフ―福島第 一原発レベル7の現場』) 【資料代】500円 ※事前申込みは不要です。当日会場にお越しください。 【主催】三春滝桜花見実行委員会、福島「農と食」再生ネット、特定非営利活動法人 APLA、特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)、特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC) 【連絡・問い合わせ】 APLA(吉澤)03-5273-8160/JVC(白川)03-3834-2388/PARC(高橋)02-5209-3455/福島「農と食」再生ネット(西沢)0494-25-4782もしくはkorural@gmail.com
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福島・三春の“収穫祭” バスツアー ■日程:2013年11月2日(土)~3日(日) 1泊2日 3・11から三度目の収穫祭を迎えることが出来ました。世の中は 「東京オリンピック」ムードであふれています。この国は福島原発事故も東日本大震災も隠し、なにもなかったことにしようとたくらんでいるかのようです。 収穫の秋を迎えた福島・三春では、何事も放射能測定からはじまります。何も出ないことを、そして買ってもらえることを祈りながら、一年の農作業の手じまいに忙しく働いています。 「フクシマ」とは、わたしたち自身のこと。福島の不安と怒りを共有し、明日を生きる力を交換し合う「祭り」、三春・収穫祭。 東京からの貸切バスで福島・三春の里に集い、出会い、語り、学ぶ 2日間です。 地元農家女性の方々との収獲・保存食づくり体験や、交流会、米の全袋検査場やベクレル調べるセンター、IAEA研究所建設予定地など 三春の各地見学、避難指示解除準備区域の田村市都路(みやこじ) 訪問など盛り沢山のツアーです。ぜひご参加ください。 ≪プログラム(予定)≫ ◆11月2日(土) 7:00 東京駅丸ビル横出発。貸切バスにて三春まで移動/昼食/現地三春の里着/昼食 午後 野菜収穫体験/昔ながらの凍み大根作り体験(予定) 16:00~18:00 参加者・地元三春の農家女性たちと交流会。 18:00~19:00 入浴 19:00~ 夕食兼懇親会。三春の里にて宿泊。 ◆11月3日(日) 朝食 9:00~13:15 バスにて三春各地見学。ベクレルセンター、米の全袋検査場(JA)、野菜検査場、IAEA研究所建設予定地、仮設住宅などを訪問予定。昼食。 13:30~ 三春出発 14:00~16:00 避難指示解除準備区域の田村市都路区見学、地元農家の方のお話を伺う。 16:00 都路出発→貸切バスにて東京へ移動 21:00 東京着予定 ※プログラムは現地の天候、事情により変更になることもございます。ご了承ください。 ≪参加費≫ ●参加費:19,000円(東京からの往復バス代、1日目昼夕食、2日目朝昼食、保険代、宿泊費、資料代込) ●バス片道乗車の方の参加費:15,000円(片道バス代、1日目昼夕食、2日目朝昼食、保険代、宿泊費、資料代込) ●学生参加費:12,000円(東京からの往復バス代、1日目昼夕食、2日目朝昼食、保険代、宿泊費、資料代込) ●当日現地参加(バス乗車なし・宿泊あり) 10,000円(宿泊代、1日目夕食、2日目朝昼食代、資料代込) 【申し込み書】 お名前 生年月日(保険に必要です)西暦 年 月 日 ご住所 〒 一般( )/学生( ) (○をご記入ください) E-mail: FAX: 電話: 携帯電話: 宿泊(○をご記入ください) 宿泊する 宿泊しない ※宿泊は、三春の里です。 バス(○をご記入ください) 乗車する(往復・往路のみ・復路のみ) 乗車しない ※現地の集合場所は、三春の里です。 ≪申込み方法≫ 上記のフォームをご利用いただくか、同内容を申し込み先にFAX、メール、郵送にてお送りください。 ◎ 参加代金は、当日、乗車時にお支払いください。 ◎ 前日11月1日17:00以降のキャンセルに関しては、代金の100%のキャンセル料をいただきます。 ≪申込み締切≫ 2013年10月30日(水)締切後の参加申込みにつきましてはお問い合わせください。 【現地の集合場所】 三春の里 田園生活館 ◇ 〒963-7722 福島県田村郡三春町大字西方字石畑487-1 ◇ TEL 0247-62-8010 FAX 0247-62-1977 ◇ ◇ ■主催:芹沢農産加工グループ/福島「農と食」再生ネット/滝桜花見祭実行委員会 ◇ ■協力:三春町/JAたむら ※「滝桜花見まつり実行委員会」は2011年3月の原発事故後、東京のNGOたちと有志で立ち上がった ネットワークです。2011年4月から毎年春と秋に福島・三春を訪れながら、地元の農家女性たちとの交流を続けています。
福島・三春町の農家から春を 三春花見まつり ~滝桜の下で三たびの集いを!~4月28日(日)福島県田村郡三春町にて ------------------------------------------------------------------- 震災・原発事故から二年。滝桜に三度目の花が咲きはじめようとしています。この冬は厳しく、春を待ちきれずにつぼみのまま凍死した多くの花々のなかで、滝桜は凍てつく風にも雪にも耐え、日本三大桜の名に恥じない優美な見頃を迎えつつあります。 この二年をともに歩んできた三春・芹沢農産加工グループの女性たちも、「必ずやってきてくれる」私たちの花見のバスを待ちながら、三年目の「農の春」を迎え、土を起こし種をまきました。そして、どうすれば安全な農作物をつくり、再び消費者と対話することができるかと模索を続けています。その一方で、政治は「復興」の名のもとに「その地に生きる」人びとの思いを吹き散らし、「原発再稼働」「原発輸出」の声が高まっています。 だからこそ、と三春の女たちはいいます。「私たちはみなさんのバスを待ち、大勢の方の力でつくりあげることができた太陽光発電(写真下)をまわし続けます」。 三春の想いを滝桜のもとで分かち合いませんか! 三春でお会いしましょう! 【日時】2013年4月28日(日)朝7時貸切バスで東京駅前発~午後9時東京駅前着予定 【会場】福島県三春町「三春に里田園生活館」(三春町大字西方字石畑487-1 0247-62-8010) 【主催】三春町芹沢農産加工グループ、滝桜花見まつり実行委員会、福島「農と食」再生ネット 【協力】三春町(福島)、JAたむら(福島)、九州産直クラブ(福岡)、JA女性部三春、 連帯ユニオン関西生コン労組女性部、地球的課 題の実験村(千葉) ◆お問い合わせ/お申込み◆ 福島「農と食」再生ネット 西沢江美子 埼玉県秩父市大宮5734-4 電話/FAX:0494-25-4782 mail:korural@gmail.com 【プログラム(案)】 6:50 集合 東京駅前(丸之内口・中央改札を出て向かいの丸ビル横) 7:00 バスで常磐道経由で三春に出発。 (※ゴールデンウィーク初日のため、早い時間での集合ですが、何卒御了解下さい) 12:00 三春到着。滝桜花見見物。 13:30 会場「三春の里田園生活館」に移動し、昼食を食べながら地元のみなさまと交流 15:30 出発。旧避難区域・避難準備区域の田村市都路地区へ。 16:00 都路着。暮らし、除染、解禁された米作付けの模様など地元の話を聞く。 17:00 都路出発。常磐道で東京へ 21:00 東京駅前着(予定)。 【参加費】 ◆バス乗車 大人 9,000円(バス代、保険代、昼食代、交流会費を含む) *但し片道乗車の方は6,000円。 学生 5,000円(往復・片道共) ◆当日現地参加(バス乗車なし) 3000円(昼食代、交流会費) 【申し込み締め切り】 4月24日まで、以下の申し込み・問い合わせ先まで、メールあるいはFAX、または電話でお名前、連絡先、生年月日(保険の関係上)をご連絡下さい。(バス乗車区間の交通保険に入る都合上、必ず住所、生年月日をご記入ください。個人情報は厳秘します)。 【お問合せ・申し込み】 滝桜花見祭り実行委員会/福島「農と食」再生ネット 西沢江美子 埼玉県秩父市大宮5734-4 電話/FAX:0494-25-4782 mail:korural@gmail.com ※頂いた個人情報については、このプログラムの目的以外には使用いたしません。 ※本イベントは余震や放射能の影響など不測の事態により変更・中止の場合もございますので何卒ご了承ください。 ※会場である田村郡三春町は福島第一原子力発電所から47キロに位置します。この地域の放射線量については三春町ホームページをご参照ください。 http://www.town.miharu.fukushima.jp/soshiki/22/01-0102sokutei.html 【お知らせ】 現地にて合流予定の方、今年は三春町による花見祭りが開催されるため、相当の混雑が予定されますので、駐車場の確保、列車の時間など、お気をつけ下さい。臨時列車の運行など、詳しくはこちらをご覧ください。 ● 三春町ホームページ「平成24年三春滝桜観光のお知らせ」 http://www.town.miharu.fukushima.jp/soshiki/7/takizakurakanko.html 【お申し込み書】 お名前 生年月日(保険に必要です)西暦 年 月 日 〒 電話 FAX E-mail 携帯電話 お申込みになるバス乗車経路(○をご記入ください) 大人/バス乗車往復(9000円) 大人/バス乗車片道(6000円) 学生/バス乗車(5000円) バス乗車なし(3000円)
「福島・三春の“収穫祭”2012に参加して」・・・S・H(茨城・取手)さんからの手紙「この地から見る日本の姿の原風景に心を揺さぶられた・・・」 山崎芳彦 去る10月20日~21日に福島県三春町で「福島・三春の“収穫祭”2012」が開かれた。昨年に続いて2度目の収穫祭だが、現地の芹沢、農産加工グループ、福島「農と食」再生ネット、滝桜花見祭実行委員会の3団体が主催、三春町、JAたむらが協賛している。 筆者は春の花見祭・交流会に参加し、原発に頼らない生産と暮らしをめざす太陽光農民発電による農産加工への取り組み・「農と食」再生ネットワークを、つまり人間の「生きる」根源への自覚的な力の構築を目指すためのひとつの根拠地を多くの人々の共感と協働の力でつくりあげる、理念と実践に感動したひとりで、今回も参加を申し込んでいた。 しかし、自分の住んでいる市の理不尽な小学校統廃合計画による地元小学校(母校でもある)の廃校を阻止する取り組みの強化のための集会と重なってしまったため、欠席を余儀なくされ、迷惑をかけてしまったのだった。 三春の収穫祭の呼びかけには「土の放射能を計り、耕し、種をまき、取り入れ、収穫物の放射能を計る。放射能を計ることが日常となった営みが三春では続いています。芹澤農産加工グループの加工所には、多くの方々の協力を得て、太陽光発電所が完成・・・ささやかですが、原発に頼らない生産とくらしを作り上げる足元からの実践です。今年の収穫祭はこの太陽光発電の稼働を記念するシンポジウム(車座座談会)を織り込み、地域との交流を一層深める」として、魅力的な企画内容が示されていた。 現地での昼食、野菜収穫、収穫した野菜の放射能検査、宿泊、そして2日目は「エネルギー自給と農・食・地域の自立」をテーマとしてのシンポジウム(三春町/JAたむら/三春の女たち/宮城・石巻、千葉・成田、山形・置賜からの報告と質疑討論)その他の企画は、営々と続けられている生活のなかでの未来を切り拓く実践とその到達点を踏まえたものであるのだから、本当に参加したかった。 プログラムのシンポジウムに関する記述の、 「3・11から1年半が経ちました。放射能に対する人々の不安は強まりこそすれ、薄まることはなく、被災地での人びとの暮しも揺れ動いています。それでも人びとは生きなければならず、田んぼや畑を、家を、お墓を、何より家族を守るための日常を過ごしています。私たちは2011年4月以来、三春町の女性グループとの交流を続け、大勢の皆様のお力を得て、足元から“原発いらない”を発信するために「太陽光発電で農産加工」を行なう一歩を踏み出しました。・・・」 の文章には、書いた人の顔が見え、共に取り組んだ人びとの心があると、感動した。スローガンを唱えるだけの人には書くことのできない、短いけれど、現在と未来に真摯に生きる人間の宣言ではないだろうか。 参加できなかった筆者にも感動を与えてくれる三春の収穫祭2012だったのだから、参加した人々の得たものの大きさをうらやましいと思う。 そんな私に、参加した友人のS・Оさんから、手紙が届いた。ご本人の承諾を得てほぼ全文を紹介させていただく。次のとおりだが、Sさんは、「参加出来なかったあなたへの、感想のつもりで書いたものだから、全容ではないし、不正確な部分もあるかもしれない。」というが、私にはしっかり伝わった。このようにして、地道な、しかし壮大な一歩一歩が広がり続くのだと思う。そのなかに自分もいなければならない。 ▼「福島・三春の“収穫祭”2012」に参加して S・Оさんからの手紙 2012年10月20日(土)、私は3度目の三春へのバスに乗った。 2011年3月11日の東日本大震災を受けて少なくとも私のなかには焦燥に似たものが芽生えた。これまでの生き方、これからの国。少しは自覚的にくらしてきたように思っていたが、くらしの利便性に埋もれいつか原発のことも視覚の隅に置いたままにしていた私。 三春町のJA女性部との交流は、最初はよくわけもわからず、古くからの友人である農業ジャーナリストの西沢江美子さんの誘いで、昨年の秋の収穫祭に参加したのが出発点。次いで今年4月の滝桜花見交流会へ。そして今回の収穫祭へとやってきた。芹沢農産加工所という、女性部の小さな作業場に太陽光パネルを設置し、その発電式でもあった。 西沢さんや福島の女性たちの福島「農と食」再生ネットの地道な活動の上に滝桜花見実行委員会への広がりができ、そしてまた私にも声がかかった。 まったくのお邪魔ムシの私が訪ねるたびに、この地に、この地を通してみえてくる日本の原風景ともいうべきものに心ひかれていく。福島は美しい山並み、田畑の風景はそのままに放射線に汚染され、風評被害にさらされ、頼りにならない政治に翻弄され町村ぐるみの避難地域、耕作禁止、自主避難区域その他の線引きで家族間もバラバラにされている。 低放射能地域の三春には仮設住宅に他町村の人たちが住んでいる。道路の角に葛尾村仮設住宅などの表示があり、ちょうど21日(日)は村長選挙の日であったことを帰宅してから報道で知った。 わたしが原風景と感じたのは自然の美しさばかりではない。この、田舎といわれる地にくらす人々の農や漁に食を支えられ、グローバリズムという名でそれらの生業もおびやかされながら、黙々と、淡々と続ける一次産業の地が都会のキラビヤカさを保障する原発立地の地であること。まさに日本の姿の原風景が、今回、私の心のなかを揺さぶる。それは福島からの帰途のバスが東北道を抜け首都高速に入った時の東京の明るさ、スカイツリーのすみれ色のライトアップ、東京駅前の並木道のピンクのイルミネーションの華やかさ。数時間のバスの旅での落差に私のなかの揺らぎが形をもった。 今回は私も少しは能動的でよい体験もできた。20日に「ベクレルしらべるセンター」に行き、実際に収穫したネギとサトイモの茎を機械にかけてもらった。この機械での測定下限値は20ベクレル/10g未満。土のついている部分は切りおとす。5ミリ以下のサイコロ状に切って、フードプロセッサーなどは使用してほしくないとのこと。JA三春の会沢さんは、玉ネギ、ショウガ、トウガラシを切るのがつらい、また固いものも大変と言う。 野菜は500gの検体を30分かける。円筒の容器に入れスイッチオン、パソコンに波動が表われる。急ぎのときは15分のときもあるという。ここで自家栽培した野菜を検査し、自己消費し、また直売所にも出すのが日課になっているという。人口16000人ぐらいの三春町は1台250万~300万円のこの機械を9台買い、JA田村が4台、他に富岡町も1台あるので、この周辺では去年の9月13日から10台が稼働している。 翌日のシンポジウム(車座座談会)では各地からの報告がそれぞれ印象的だった。 ▼「JA田村」の営農経済部長さんは、県外のスーパーなどで産直コーナーの売場に立つが、つらい経験もする。産物はもとより宣伝用のうちわも受け取ってくれなかったなどの経験談もあった。学校給食も地元産を使っていない。米の全袋検査機は7基あり、1基2000万円した、農産物価格は従来の半額・・・などの話もされた。 ▼石巻から参加の佐立さんの話。水産業・漁民たちにとって復興の見通しもたたないなかで、株式会社に「漁業権」を持たせる「特区事業」を持ちこもうしている知事。仮設住宅の劣悪さの中で心身が大変、住みたいところに住むことと自然との向き合い方、住居とは何か、ただ雨風をよけるだけのものか・・・重い課題に挑戦しようとしている。 ▼山形からの菊池さんの話。山形で米沢牛を大切に飼育し、飼料も宮城の大崎のワラを使っていた。福島の浅川町でワラからセシウムが出たという報道があったが、まさか大崎のワラもとは思っていなかったのに、すでに出荷してしまった牛4頭中3頭の販売は中止に。山形県内で同じワラを買った4人、A、B、C、Dさんと報道された。すべての原因と責任は東電と国にあるのに大崎のワラの販売者、買った菊地さんたち、基準値以下だったが消費者に売ってしまった肉屋さんが苦しみ続けた。誰にも責められていないが、みんなに責められている気持ちと、菊地さんは表現している。 もっと多くのことが話し合われたが、シンポジウムの後、帰途のバスは三春町の隣の田村市「都路地区」に向かった。ここは収穫祭で私たちの食事の世話などエネルギッシュにしてくれる松本さんの家のある所。田畑はつくれないので、三春の会沢さんの畑を借りている。いうまでもないが耕作されない田畑は荒れている。最近は見ることが少なくなったセイタカアワダチ草がここぞとばかりに伸びに伸びている。その一画に黄金色に輝く稲穂の田が。「稲試験栽培第11号ほ場」の看板が立ち黄色いテープで囲われていた。 女性部の加工品を購入し1日、2日の訪問で何か役にたつのだろうか、いちまつの後ろめたさがいつもある。この集いのうしろには、主催者の再生ネットをはじめとする方々の長いつきあいと信頼の絆があることをいつも思う。その一端をちょっと握りつつ、計りしれない学びをいただいている。 福島から遠くはなれたこの取手市でも、いつもどこかに放射能汚染の不安をかかえ、思考を重ねて暮らしているのだから。 以上がS・Оさんからの手紙だが、彼女は私同様に参加希望していながらできなかったほかの人にも同じように報告、感想を書いているという。 私のように参加申込みしながら不参加となった人は少なくないと聞いた。 東京からの参加者のためにはバスを借りたのだから、主催者はそのぶん赤字を負うことになったに違いない。カンパをしなければと、私は考えている。それも行動のひとつだろう。
「脱原発をめざす首長会議」が原発立地地域の茨城県東海村・村上達也村長も含め35都道府県の市区町村長70人の参加で設立された4月28日、まさにその日に、「三春の滝桜」で有名な福島県三春町で意義深い「三春花見まつり・交流会」が開催され、筆者も参加した。(2012年4月30日『日刊ベリタ』) 三春町芹澤農産加工グループ、滝桜花見まつり実行委員会(東京)、福島原発被災地「農と食」再生ネットワークの主催、全国各地の各種団体の協力で開かれた「花見まつり」は、この日を待っていたかのように満開の滝桜や各所に咲き誇る桜を楽しんでから、三春町貝山集会所に集合し、地元の農家女性手作りの昼食をいただき、関東各都県からの参加者(早朝東京駅前からバスで、その他自家用車で現地集合の人、長崎から飛行機で来た参加者もいた)と地元三春町及び福島県内の農業者団体と農民の交流集会を開いた。(正確な参加者数は確認しなかったが百名近かったと思う) 交流会は大野和興さんの総合司会で進行、自然エネルギーによる農産加工に取り組む「芹澤農産加工グループ」代表の会沢テルさんの歓迎あいさつ、「JAたむら」からの3・11以後の地域農業についての報告、さらに「県有機農業ネットワーク」代表の菅野正寿さんから、政府・農水省が田植直前になって打ち出してきた稲作農家の作付けに関する方針が、実態に合わない無理難題ともいうべき放射能対策の押し付けで、農家の生産意欲を失わせ、農業破壊に及ぶ不条理な内容であることを具体的に指摘し、農水省、関係機関に「作付制限ではなく福島の農家の生産意欲への支援を求める要望書」を提出し交渉を行なっていることが報告され、福島の農業の再生についての苦悩と危機感を感じさせられた。 福島原発事故、放射能に痛めつけられながらも、懸命に放射能汚染の低減に取り組み、成果を上げつつある農業者に対する政府の姿勢は、TPPとも絡んでの農業政策の本性をあらわしていると、菅野さんの話を聞きながら、筆者は思った。国策として原発を推進し、第一次産業の衰退・破壊をもたらしてきた歴代政府の農政が、福島原発事故に苦しんでいる農家農民に、いまこのとき、さらに農業破壊の政策をむきだしに打ち出していることへの怒りが湧いた。福島の農業だけの問題ではなく全国の農業生産者と、生きるためにその恵みを得ている生活者すべてにとっての問題として受け止めなければならない。 全体での交流会の後、三つのグループに分かれて各地からの参加者と三春をはじめとする福島の人々との懇談・交流の場も活発な意見交換で理解を深め合い、盛り上がった。 ◆自然エネルギーを活用する芹澤農産加工グループの取組み この日の「花見まつり」交流会の主催者でもある芹澤農産加工グループの自然エネルギーによる農産加工への取り組みに、筆者は深い共感、期待を持った。 「原発ゼロ」はスローガンではなく実践の課題であることを見事に明かしてくれている。同グループの取組みの経過は、当日資料として配られた「この一年の振り返り」(西沢江美子・福島・農と食再生ネット代表)に明瞭に示されているが、感動的だ。 放射能汚染の実害や「風評被害」に苦しみながら、悲喜こもごも、曲折の経験を経ながら、以前は個人で、あるいはJA女性グループとしてやっていた農産加工の仲間が集まって形成した地域グループが構想したその内容は、質的に豊かで展望のある中身を持つ。 土に生きる農業生活者が地域を軸につながり、消費者グループや連帯できる団体、仲間を増やして自らの力と支援者との共同の道(資金カンパその他、原発と農・食を考える場)を作り、「原発はいらない」の意思を生産とくらしの足元から具体的な形としてつくり発信しつつある。 農山村を自然エネルギーの基地として経済活動に結びつけ、農業生産のエネルギーを自給する農民発電(太陽・バイオマス・風車など)のモデル事業として位置付けた実践であり、現地に太陽光発電をエネルギーにする農産加工場をほぼ作り上げている。始動のときは遠くない。 東京発の参加者は、帰路の途中、農産加工場になる場所を見学したが、広くもなく、民家を少しだけ改造した建物と、小高い位置に据えつけられた太陽光発電パネル(出力5kw/時、余った電気は東北電力に売却)にぎっしり、しかも柔軟に詰まっている知恵と努力を思うと、いま実りつつある果実の豊かさに感動させられた。 現地の人々も共同者も、誰も大上段に振りかぶった物言いも振舞いもしない。しかし、この一年の道筋を思えば、土とともに生き、命をつなぎ、希望を組織化して進もうとしている現地の農業者と共に、原発の時代を乗り越え、戻らない新しい農業文明への希望を持って全国に語り告げようとしている人々の現在と未来が、三滝の滝桜の輝くように咲き満ちる情景と重なって見えた。 この花見会は、筆者をも包みこんでくれる明るい明日を、実感を持って見せてくれる会であった。短歌作品を読むだけでなく、つたない歌を詠うだけでなく、もっと何かできることがあるのではないかと、筆者に問いかける声を聞いた思いがした、そんな一日だった。 (農産加工グループに関する記述のほとんどは、西沢さんのまとめた資料に拠るが、誤った部分があれば筆者の責任である。)
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